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2016/07/22

家を建てるのに、「営業マンが良かったから」という理由で決めていいの?

豊かに暮らすということ

私は20代の頃、東京の住宅会社を辞め、福岡に帰ってきて、不動産・住宅事業を任されました。

その頃、会社での不動産部門は、土地を買って造成し家を建てて分譲する販売部門と、家を設計・デザインする設計部門の2つの部署に別れていて、今後は家を「売る」「つくる」のどっちの方向に進むべきかを検討していました。

そんな時に住宅展示場に出展する話が舞い込んできました。その展示場には18社のハウスメーカーが出展しますが、会場内の場所取りが大事でした。隅っこの方では、来場者はなかなか来てくれません。その展示場には、来場者はまずここを見るだろうという会場でもメインとなる良い場所があり、そこの位置取りは抽選で決めるということでした。

住宅展示場への出展も決めかねたまま、くじを引いたのですが、その最も良いと言われる場所が当たってしまいました。

う~ん、やるしかない。

その時に「これからは注文住宅を伸ばしていこう」と決断しました。この当たりが無ければ今のマキハウスは無かったかもしれません。

住宅展示場にどんな家を建てたのか

大手のハウスメーカーと同じことをやっても仕方ないと考えました。

総タイル貼りの外観から、玄昌石の屋根、天然無垢材のフローリング、ドイツ製のシステムキッチンに、コンランショップでコーディネートした家具まで、こだわりの家づくりをやりました。

家の評判はすごく良くて、非常に多くの来場者を集めました。しかし、冷静に分析してみると少し違うものが見えてきました。

18社のうちで来場者がトップ、最も人気のある住宅でした。それにもかからわず、最終的な契約数は最低だったんです。

その理由は、対応の遅さ

わが社では来場者への対応を設計士がやりました。家のことが一番わかっている、設計士が対応するべきだと考えたのです。

設計士は、お客さんの要望を聞きしっかり対応します。その分、時間がかかるのです。

お客さんは予算に合うか知りたいので、すぐに「いくらかかるの?」と聞きます。しかし設計士はきちんと設計してみないと金額が決まらないことを知っているので「待ってください」と、なります。

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大手のハウスメーカーは、言われたその日のうちに見積もりを出します。お客様にあわせて見積するのではなく、このぐらいの値段の家を買ってもらいたいという金額を出すのです。

結果、こちらがグズグズしているように見え、スピーディーに動いてくれる営業マンがいるということで、お客さんはそちらで決めてしまうのです。

もちろん、お客さんが他で決めるのを、ただ指をくわえて見ていたわけではありません。「一戸一戸、丁寧に手づくりしましょう」と言って回りました。納得いただき、契約していただいたお客様の多くいらっしゃいましたが、件数ではスピーディーな営業マンに勝てませんでした。

心の底からこう思いました、

家をつくるパートナーを決める理由が、「営業マンが良かったから」?
本当にそれでいいのですか?

営業マン、工務店社長が選んだのは?

この話には少し続きがあります。

大手ハウスメーカーに販売数では負けたのですが、その大手ハウスメーカーの営業マンや、工務店の社長さんが自分の家として選んだのはマキハウスの家でした。

デザインの良さや材質へのこだわりとても納得してもらえたのです。住宅の価値のわかる人がマキハウスで建ててくれたことはその後の大きな自信になりました。

家は衝動買いしてはならない大きな買い物です。設計のできない営業マンで決める家づくり。それが正しいとはとても思えません。

営業マンには負けたけれど、家のクオリティーでは勝った。

あの時の思いが私の心の奥にずっとあり、それが今のcasa cube、casaシリーズに繋がっています。