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2014/12/03

日本の伝統を学ぶ(土間、縁側などから考えるゆとりある住まいについて)

住まいの快適さを追求する

日本の住まいには、その風土と生活様式に見合った伝統の知恵があった。














多目的に使える和室や屋内の生活空間として重宝した土間、
ちょっとした接客もできる縁側などがあった。

日本の農家には必ず土間があり、
土間は家の中にあり屋根も壁もあった。

農作業を終え家の中に入るとき、ここで衣服の汚れを落としたり、
くわ等の道具の汚れを落とし綺麗にして直していた。

また、収穫したものを仕分けをして一時的に保管したりもしていた。
土間は、外と中をつなぐ緩衝空間で、作業場所でもあった。

以前は、生活空間に密着していた土間も農家の減少と共に少なくなってきている。
土間を必要としない生活スタイルになったともいえるが、この空間を設けておけば、
今の時代の住まいでも多用途に使える空間になるのではないか。

菜園を楽しむ人の資材置き場や作業場所、
また、趣味の陶芸としての空間、子供の遊び場、釣り道具や、自転車、バイク等の
趣味の作業スペースとしても利用できる。

土間は、土を使用せず「三和土」粘土と石灰とにがりに
水を加えて混ぜしっかりたたき締め固めた伝統的な仕上がりにしたり、
現代風にタイル貼りにする方法もある。
こうした考え方は、今の住宅でも十分に対応できるのでは。

縁側も日本独特の空間であり、屋内と屋外の境界線に位置するところである。
近所の顔馴染みの人や、出入り業者や色々な人たちとちょっとした会話をするには、
玄関よりも落ち着いて話ができる。
日向ぼっこをしたり、のんびりと本を読んだりできるスペースである。
縁側を作れるのであれば、
門から直接縁側へのアプローチも作っておきたい。

これらの「何かが生まれるスペース(空間)」という発想を持ち
家族が生き生きと暮らせる家にするために、ゆとりのある空間が必要である。
家族で共有したり、子供たちの友達が遊びに来たり
近所の人たちとのだんらんができる空間を作りたいものだ。

日本の伝統的な住まいは開放的だった、
だが、住まいを建てる条件は今では大きく変わった、
おしなべて土地は狭くなり、隣家が接近しており軒も出せないくらい敷地に余裕がない。

大きな開口を設けても家が密集しており風通しも悪く、日も差してこない。

人は、自然に寄り添って暮らそうとしている。
快適な家作りのテーマは、今も昔も変わっていない。
日本の伝統的な住まいの知恵を、現代の家作りに生かすことが
今の家作りに求められている。