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マキハウス ミラノオフィス通信

2010年 12月 20日 Copenhagen

ミラノから飛行機で北に向かうこと2時間。デンマークのコペンハーゲンはあたり一面銀世界でした。
今回はその模様をご報告いたします。
デンマークの人口は約550万人。面積は九州とほぼ同じ。ユトランド半島とその周辺の多くの島々からなり、ノルウェー・スウェーデン・フィンランドさらにはアイスランドを加えて北欧5カ国と呼ばれます。
緑の丘や森、湖沼など、公園のような美しい景観が広がり、酪農の国としても知られるデンマークはまた、工芸・建築の優れたデザイナーを数多く輩出した国として有名で、アルネ・ヤコブセン、ボーエ・モーエンセン、ハンス・J・ウェグナー、ポール・ケアホルム、フィン・ユールといった近代デザインの歴史を築き上げた数多くのデザイナーを育みました。
まず最初に訪れたのはPPモブラー社。

前述のハンス・J・ウェグナー。彼は生涯で500種類以上の椅子をデザインし、20世紀の北欧デザイン界に多大な影響を与えました。
PPモブラー社はそんな彼の様々なモデルを製作する家具工房で、手加工・機械加工・椅子張りを一貫して行っています。
ここでは代表のカスパー氏の案内で工場見学をいたしました。
階段をあがると事務所入り口前にあったのは椅子の背とアームのディスプレイ。
ひとつひとつがまるで現代彫刻のように美しく、ほれぼれするような完成度です。

今回の見学で改めて感心したのはその品質や技術の高さ。
紹介すべきすばらしい点はいくつもありましたが、まずは木工作品の完成度を左右する木取りについて紹介します。

写真はpp503(通称 the chair)のアーム部分。
上部から見ると左肘・背・右肘の3パーツに分けてアームをつくるのですが、左右の肘、背もたれの木目がすべて対称になっています。
言葉にすれば簡単なことなのですが、このように作るにはまず部材を選ぶ時点で完成を意識しなければいけません。
この部材選びが非常に難しくまた経験も必要とされ、選択するのも手間と考えられるライン作業ではまず見落とされる点となります。
しかしこの点を意識するかしないかで、完成後の作品の品格に大きな差が現れます。
もしこのブログをご覧の方で木の椅子を目にすることがありましたらこの点を意識して見てはいかがでしょうか。いいものはやはり木目の流れも違和感無く自然に見えるよう計算されていることがわかると思います。
次は作業しやすいよう整理された点。

まるで薬箱のようにケースが並べられた上の写真は、機械加工をする際に使用する工具を商品ごとにまとめたもの。そして下は部品のストック庫。
誰もがわかりやすく規律正しく整理整頓され、無駄を感じません。
熟練の工員に加え、若い人も多く目にしました。

PPモブラーというブランド力が惹きつけるのもあるかとは思いますが、工員として若い女性も多くいたのは驚きです。
デンマークをはじめとする北欧諸国は男女平等が進んでいるとよく言われますが、その一端を垣間見たような気がしました。
今回コペンハーゲンにて、このような歴史と実績ある工房を見学できた点はとても貴重ですばらしい経験だったと感じます。カスパー氏やスタッフに感謝しつつ工房を後にしました。
コペンハーゲンからは北に40キロ。電車で約50分ほどの小さな町にルイジアナ美術館はあります。
現代美術のコレクション、また美術館建築の秀作として知られており、長年の念願叶いようやく訪れることが出来ました。

収蔵作品として館内にはロイ・リキテンスタイン、アンディ・ウォーホル、アンゼルム・キーファー、パブロ・ピカソなど。
なかでもジャコメッティの彫刻が展示されている部屋は、彫刻自体のすばらしさもさることながら、配置バランスがそれ自体アートといえるほどに美しく情緒的でした。

また多くの人がたたえるように私もこの建築に魅了された一人です。
規則正しく並んだ椅子は音楽ホールとして使われるそう。

階段のステップ部分を手すりの下から間接的に照らしており、とても幻想的に見えます。

車椅子用エスカレーターのスイッチ。ところどころに品があり、またかわいらしくもある、そんな印象を受けました。

庭にはヘンリー・ムーア、アレクサンダー・カルダー、ジャン・アルプといった彫刻家の作品があります。
ここからは海を見渡すことが出来、このロケーションはとてもきれいだと評判ですが、私が向かった時はすでに日が暮れており見ることは出来ませんでした。
残念ではありましたが、またコペンに来るきっかけと思い美術館を後にしました。
アメリエンボー宮殿の近くで、家具のアンティークショップやメーカーのショールームが多く並ぶ界隈にデンマーク工芸博物館はあります。

落ち着いた石造りの館内。

北欧デザインが好きな方は満足すること間違いないでしょう。
アルネ・ヤコブセンやフィン・ユールなど北欧デザインの歴史をつくった重要なプロダクトを数多く所蔵。

また館内はミュージアムカフェも併設しています。ポール・ケアホルム氏の妻、ハンナ・ケアホルム氏による設計。こちらではクリームシチューを注文しました。
雪が降り氷点下のコペンハーゲンで食べる暖かいシチューは、より一層美味しく感じました。

最後に街の雰囲気についてお伝えします。

氷点下の中、雪にも関わらず自転車をこぐ人達が多くとてもアクティブ。

移動パン屋さん。レイアウトがとてもかわいらしい。

世界最長の歩行者天国として知られるストロイエ通りは、ヨーロッパ屈指のショッピングストリート。クリスマス・イルミネーションに彩られていました。

イルムスボリフス。日本の北欧家具ショップ・イルムスのベースになったお店として知られています。

チボリ公園。創設以来2億7千人が訪れた世界有数の遊園地です。

写真25

静かな夜のコペンハーゲン中央駅。
私が訪れたのは12月上旬。外気はもちろん氷点下、雪は溶けることなくつもるいっぽう・・・
少し寂しい季節ではありますが、三角屋根の家の窓から見えるやわらかな光は、暖かな家庭風景を思い起こさせます。日も暮れるのが遅く、日照時間も日に日に短くなるデンマーク。その結果家で過ごす時間も増え、家での生活を充実させるために豊かなデザイン文化が育まれたのかもしれません。K.O

ミラノオフィス通信- デザイナー 徳永 - 2011/01/10

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